2015-03-13

レビュー『記者たちは海に向かった』 門田隆将

なかなかブログを更新できていなくて、反省ばかりです。
「何か、読む人の役にたつ情報を発信できたらなぁ」と、いつも考えてはいるのですけど。。。

「役に立つ情報を!」というと、ちょっと勇ましい感じですが、それよりすこ~しユルく綴れたらと思い、読んだ本の紹介をしていきます。

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記者たちは海に向かったの本

あれから4回目となった、3月11日。

東北の震災に関する本が多く出版されている中で、今回私が選んだのは『記者たちは海に向かった』(門田隆将著)。

明治28年から100年以上も続く福島民友新聞が被災し、新聞発行の危機に陥ってしまう中、「紙齢」を欠くことは許されないと、苦闘する内容です。その中で生まれる、葛藤や執念、熱意が伝わってきます。

「紙齢が欠けることは、新聞人にとっての『死』を意味する」と書いている部分があります。
繋げる、伝える、ということはもちろん大切なことですが、これだけの被害が出て、たくさんの命が失われている中で、新聞が一日届かないことが「新聞人にとっての死に値する」とは、そこまで追い込まなくても・・・などと思ってしまったりします。

けれど震災翌日の朝、東北から遠く離れた土地にいた誰もが、届いた新聞を隅々まで読み漁ったはず。
私ももちろん、そうでした。
そう振り返ると、被災地の方々にとって、新聞により正確な情報が届けられることが、どれほど貴重であったのか想像できて、「新聞人にとって・・・」という言葉が、深く心に入ってきます。

さらに、島民友新聞が、困難の中発行した翌日の新聞の社説。
なんの資料もないまま書きすすめなくてはいけない異例の事態に、それは「私たち福島県民にとって」という書き出しで始まる、被災した人による、被災した同じ地域の人々へ向けての励ましと訴えとなりました。新聞発行を繋ぐ使命とはこういうことなんだと、改めて気付かされた話でした。
翌朝に、新聞配達をするおばさんの姿にも胸が熱くなります。
「伝える」ことは、正確な情報を届けるということだけでない使命を持っているのだと、改めて考えさせられる内容です。

本の中には、「伝える」という使命を貫くために様々な葛藤を抱え、追い目やトラウマも抱える記者の姿があります。
若い記者を亡くしたこと、人を救えなかったこと、同じ地元で暮らしていた「取材する側」と「取材される側」のことなど、この本で伝えてもらわなければ、知らなかった苦闘の様子に、こみ上げてくるものがありました。
初版発行は2014年3月。
時が経たなければ語られなかったこともあったんだ、と想像させられます。

被災した地元の人たちにとって福島民友新聞がそうであったように、私たちにとってこの本も「知らなかったこと、気付かなかったことを伝えてくれた」と思える一冊です。

今だけ企画

ただいま準備中です。

できるだけいろんな方のお役に立てる企画をと考えています。

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