2020-02-03

文章作成でテクニックより大切なこと-事例:プロフィール文章で

「読んでもらえるようにするには、どう書いたらいい?」
「サイトのアクセスを増やしたい」

文章に関する相談をいただくときに、よく耳にするのが「多くの人に読んでもらえる文章は、どう作るのか」ということ。

ネットで調べたり本屋で探せば、たくさんのテクニックを知ることができます。それだけ、文章について悩んでいる人が多いということなんですね、きっと。

文章に関するセミナーをすることも多いのですが、そのときにお伝えしていることをお話します。

How toを知ればうまい文章になるのか

言い回しや表現などのテクニックを押さえておくことは、無駄ではありません。おかしな文章にしてしまったことで、誤解されても困っちゃうので、最低限の文法は知っておいたほうがいい。

けれど、極端なことをいうと、誤解や中傷・偏見につながらないのであれば、あまり細かい部分にはこだわらなくても大丈夫。(文章をお仕事にしている場合は細部にこだわったほうがいいんですけど)
「伝わる文章の書き方」「アクセスにつながる文章とは」と、いろんな「How to」を学んでも、それですぐに伝わる文章が完成するとは思いません。そこにこだわるよりも、大切なことがあります。

耳障りがよい文章やスマートにまとめられた文章は、確かに読みやすいし、イメージしやすい場合もあります。それは、How to本に書かれている通りに作られているから…かもしれないけれど、実は「テクニック」にプラスして「テクニックじゃない部分」が効いているからなんです。

「視点」を磨くほうが大事!

積み木

文法や表現、テクニックを知ることは大切です。知っていて損はないでしょう。

大切なことは、テクニックという目に見える部分でなく「伝えるための視点」を理解しておくことです。

文章表現のテクニックは「伝えるための視点」の上に乗っかっているんです。テクニックを使いこなせるかどうかは、伝えるための視点を理解しているかどうか、です。
「どこに視点を置くか」によって、文章の伝わり方は変わります。ぐっと伝わるようになることもありますし、伝わる方向が変わる場合もあります。

また「視点」には、文章作成という枠を超えた、仕事をするうえで大切なモノに発展していく力があります。(あ、この話はまた改めて)

読む人の「知りたい」になっている?

万華鏡を覗いてる

「視点」の一つが「伝えたい=知りたい」になっているか、ということ。
今回は事例をひとつだけ紹介します。

ホームページに掲載する文章を作ってほしいと、依頼を受けたときの話です。

依頼主は、ある業界の製造メーカーに勤務し、世界のトップレベルへ向けて製品を提供するため、それこそ世界中を飛び回っていた方でした。
退職してコンサルタントとして独立。業務・サービスに関するページや代表のプロフィールページの文章を作成してほしいと、依頼をいただきました。

プロフィールの紹介文では、人柄がわかるようにストーリーを語る…ということが鉄板。これまでどんな経験をしてきたのかを、丁寧にお聞きしていきました。

「苦労話を入れてほしい」

依頼主からは「苦労話を入れてほしい」とリクエストがありました。そうなんです、みんな自慢話より苦労話が聞きたいもんですよ。

実は、その業界では有名な賞も受賞され、さらに大手では珍しいことに、一つの製品が完成するまでの全工程に携わってきた経験をお持ちだった依頼主。
普通なら「こんなにスゴイねん~!」と自慢したいところですが、そこは冷静に「苦労話を」という依頼主。
世界を駆け回っていたときのことや、製品を設計する際の苦労話をたくさん聞かせてくださいました。

たった一人で大きな荷物をいくつも抱えて見知らぬ外国の街をさまよった話、完成した製品のわずかな数値の違いで一から作り直した話、意見の違いから体格のいい外国人にドワーッとまくしたてられた時の話。

でもね…。

読後のアクションにつながるかを考える!

その苦労話を伝えたいと依頼主が思ったとしても、です。

果たしてそれは、お客さんになるかもしれない相手が聞きたい話なのかどうか、を考えてほしいのです。

お聞きした苦労話は、私が読んだら「まあ、そんなご苦労があって完成した製品なんですね!すごい〜」と思うでしょう。けれど、専門的な支援を求めてコンサルタントを探している人の場合は、どうでしょう。

文章は、だれかに伝えるために書いているはず。だから【それを読んだ人がどんなアクションを起こすか】(=どう思うか)をイメージすることが大切なのです。

■「こんな経験をした人がいるんだ。興味があるなぁ」
と問い合わせてくる人
■「こういう仕事を頼めるところはないかなぁ、相談できるところはないかなぁ」
と問い合わせてくる人

同じ問い合わせにつながったとしても、入り口が違うことがわかりますよね。
どちらのほうが仕事につながると思いますか?

苦労話とビジネスをつなぐポイントは

もちろん「私という人間を知ってください」ということが目的なら、伝えたい苦労話をつづっていいと思いますよ。それを聞きたいと思っている人にとっては「読みたかったんだよね、こういうのを!」と思ってくれるでしょう。

事例の依頼主の苦労話を、ビジネス用のWEBサイトでプロフィールとして載せるなら、そのままというわけにはいきません。

ご本人がそれを伝えたいという場合、どうしたらいいか。
ここでも「視点」がポイントになります。

その苦労が、今のあなたの事業のどこにつながっているのか、どう役立っているのか、信頼の裏打ちになっているのはなぜか…。そのような視点で、文章をプラスすればいいのです。

「伝えたいこと=知りたいこと」にするためには、
「あったこと」をそのまま並べるのではなく、読む人の知りたい視点に立って考えるのです。

テクニックも大切ですが、まずは「視点」です。

今だけ企画

ただいま準備中です。

できるだけいろんな方のお役に立てる企画をと考えています。

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